2008年 12月 30日
今そこにある危機 PART1 |
今そこにある危機に対して、対応できていないのが①防衛省、②自民党、③日本の輸出企業、④厚生労働省、⑤文部科学省である。今日は、防衛省のいまそこにある危機に対する不感症について論じたい。 まずは防衛省の今ここにある危機は組織改革とソマリア沖自衛艦派遣についての対応である。今日付けの各誌にも掲載されているとおり、田母神俊雄・前航空幕僚長が昭和戦争に関して政府見解と異なる論文を発表した問題の影響で、深刻な状態に陥っている。(まず、応援クリックしていただければ感謝します。)
田母神論文のバカさ加減については、いろんな所で論じられているが、本日付けの産経にも岡本行夫(外交評論家)の見解が再掲載されている。先月の産経コラムの中で、「田母神論文は検証に耐えない論拠でつづられている」と書いたら、ネットウヨと同類項の何人かの読者から同氏に対して「おまえは日本人か!」とおしかりを受けたという。この問題については、歴史家としてみても幕僚の立場から見ても田母神論文が間違っていることは、宙水も過去のコメントで縷々書いているが、それにもまして、今日付けの各紙の報道を見ると防衛庁がピンチに陥っていると言う。
海一つ隔てた潜在的な大国が空母建造を公にし着々と外洋海軍の整備に着手している現在、防衛力の強化とは程遠い過去の昭和戦争の是非を何で田母神幕僚長は問う必要があったのか?軍人たるべき者は、専門家として、現在の軍事的な課題を明らかにし、何が出来て何が出来ないのか世論に訴え知らしめる努力をするべきで、過去の戦争の評価に歴史家のように容喙し国士気取りでマスコミに登場し、退職金7千万貰って敵前逃亡する振る舞いは断じて許されないものである。
お陰で、今日12月30日付けの読売新聞によれば、現在の防衛省は未曾有のピンチに陥っている。歴史認識がどうの国家の威信がどうのと言っている場合ではない。
① 内局と陸海空の各幕僚監部にある防衛力整備部門を一元化し、内局に創設する局に
集約する。
②自衛隊の運用を一元化し、内局の運用企画局の機能を統合幕僚監督部に移す。
といった改革案が田母神論文問題で大幅にずれ込んでいる。改革の工程は3カ月以上後れていると言う。
これらの改革案に対する制服組の抵抗も強いと言うし、首相が主導する海上自衛隊のソマリア沖海賊取締り派遣に対する抵抗も武器使用に関する統一見解や法制度不備で防衛省内でも反対論が根強いと報道されている。
歴史認識とか国家の威信とかについては、防衛省の制服組が歴史家でもないくせに容喙し、世間に向かって論文を発表しても、防衛省としては何ら得るところは無かったのである。かえって、防衛省の改革の速度を弱め、防衛力の充実を弱めただけなのである。
ネットウヨたちは、そうは言っても昭和戦争を全部正当化しないと、自衛隊の若い隊員を教育できないと主張する。小生の立場は、満州事変、満州国を日本の権益にすることまでは対ロシア政策からいっていくらか正当性は主張できるが、中国本土まで攻め込んで英米の権益を蹂躙し、せっかくの満州も元も子も亡くしてしまったのは明らかに日本の軍部独走による侵略であり大失策である。そんなことで隊員の教育が出来ないと言うのは本末転倒であると思う。
若い自衛隊員に対してしっかり教育してもらいたい事は、天皇陛下が2006年6月の記者会見で「愛国心」について述べられた次のお言葉である。
「日本では1930年から6年間に要人襲撃が相次いで首相と首相経験者の計4人が殺され、この時期に政党政治が終わって言論の自由も失われた。先の大戦に先立ち、このような時代があったことを多くの日本人が心にとどめ、そのようなことが二度と起こらないように日本の今後の道を進めていくことを信じています。」
このお言葉の中の要人襲撃とは、軍人が起こした5・15事件や2・26事件のなどのこと、軍事テロの恐怖をちらつかせて軍部が以降独断専行して日中戦争を拡大し、三国同盟を締結し、英米との戦争に向かったことである。このことについて天皇陛下は痛恨の思いを表されている。陛下が日本を愛されてないわけではない。愛すればこそこのような歴史に悔恨の念を現されている。まさか、ネットウヨたちは、このような昭和初期のテロやクーデターも外国のあるいはコミンテルンの罠だと言いたいのだろうか?
本日、30日付けの産経にもあるとおり。歴史は現在進行形なのである。日本の素晴らしいところは、昭和初期から終戦までの司馬遼太郎が言った「魔法の森」「昭和の妖怪」のような軍部独裁の時代を正当化しないまでも、江戸から明治に引き継いだ日本文化、日本人の人や自然に対する肌理(きめ)細やかな情感や繊細な感性や世界の人々に対する献身や貢献を守る、世界に認められた日本文化の素晴らしさ守る、ということを隊員に教育すれば十分なのである。それが真性保守なのである。ネットウヨのような不真性保守は昭和軍部と同様に日本文化を破壊する輩なのである。
今日の産経新聞2面の冒頭記事(コラム)で、岡本行夫氏は、ウクライナの首都キエフの中学校で「君たち松尾芭蕉のことを知ってますか?」と聞いたら生徒たちは当たり前だと言う顔で全員小学校で習いましたと答えたと言う。ウクライナの学習指導要領では「自然を描写して気持ちを表す日本人の国民性を学ぶことにより、ウクライナとは違った文化を持つ日本と日本人に対する尊敬の念を養うこと。」と記してあると言う。ウクライナは旧ソ連の産業科学や農業の拠点地域として核も保有する堂々たる国家である。他国の文化を理解できないものは自国の文化に対する愛情も育まれないから異なる文化に尊敬を持たせると言うのである。ネットウヨのように戦前の軍部と同様に嫌中嫌韓のトンデモ本ばかり読んでいる輩には日本の文化も理解できず、真の愛国心も無いのである。
ウクライナの小中学生の教育に比べて、自衛隊員に松尾芭蕉に関してどのような知識があるか説明せよと問題出してみたらどれだけ答えられるのか?これは一例だが日本文化に対してどれだけの教育をしているのか?昭和の軍部が日本文化を破壊しようとしたと同じように、田母神が日本の歴史伝統に対する教育をおろそかにして、ヒトラーに騙された昭和軍部の正当性をいくら隊員に証明しようと思ってみても逆効果なのである。昭和軍部と同じように現状分析が出来ていない。防衛省のやるべきことは日本の歴史文化、過去の事象のみならず現在の日本人の背景となっている「現在進行形」の日本文化を自衛隊員に教育し、本当の意味の愛国心を育て、自衛隊の地位を高め、組織力技術力や法整備を整わせ、現実感を持って今の危機を分析することなのである。
←「クリックしていただけると励みになります。お願いします。」
今年も残り少ない時間になりました。ネットウヨのブログ主に対して次のような言葉を送ることにします。
ネットウヨのブログ主様へ
今年も中国は崩壊する。韓国経済は破綻する。国籍法改正は通らないなどと昔からの貴方の主張をさんざんおっしゃっていましたが、ことごとく予想は外れましたね。
現実は日本の現在の危機は相当なもので、貴方の予想に反して2009年以降もそうバラ色な未来はありそうもなく、亡国の兆しが出てきております。
その原因は、指導者層のモラルハザードにあると思いますが、あなたのような無責任な老人がグローバリズムの世界経済に背を向けて、国益に反するネットウヨを増殖させていることにも一因があると思います。
国際間には永遠の友人も永遠の敵も無いのです。あるのは冷徹な利害関係だけなのです。2009年には米国のみならず日本もアジア諸国と協力して利害関係を見つめた外交をしなくてはならなくなるでしょう。
あなたのように中国や韓国と「ハイさようなら!」と言うような余裕はないことがますます実感をもって感じられることになると思います。ますます苦しくなるお立場だと思いますが、がんばって下さい。
注記:ここで言うネットウヨとは、グローバル化し,複雑化していくポスト近代に乗り遅れ、付いて行けない人々が,そのフラストレーションを陳腐で幼稚な嫌中,嫌韓のトンデモ本などに不満解消を求め、ネット社会において夥しく繁殖し、トンデモ史観を振り回し、欧米アジアからの日本人はプレ近代で偏狭な歴史修正主義であるという反日の契機を与え、結果的に日本国の国益を害する人たちのことを言う。
◆人気ブログランキングへ参加しています◆
クリックしていただければ感謝、感激します。
田母神論文のバカさ加減については、いろんな所で論じられているが、本日付けの産経にも岡本行夫(外交評論家)の見解が再掲載されている。先月の産経コラムの中で、「田母神論文は検証に耐えない論拠でつづられている」と書いたら、ネットウヨと同類項の何人かの読者から同氏に対して「おまえは日本人か!」とおしかりを受けたという。この問題については、歴史家としてみても幕僚の立場から見ても田母神論文が間違っていることは、宙水も過去のコメントで縷々書いているが、それにもまして、今日付けの各紙の報道を見ると防衛庁がピンチに陥っていると言う。
海一つ隔てた潜在的な大国が空母建造を公にし着々と外洋海軍の整備に着手している現在、防衛力の強化とは程遠い過去の昭和戦争の是非を何で田母神幕僚長は問う必要があったのか?軍人たるべき者は、専門家として、現在の軍事的な課題を明らかにし、何が出来て何が出来ないのか世論に訴え知らしめる努力をするべきで、過去の戦争の評価に歴史家のように容喙し国士気取りでマスコミに登場し、退職金7千万貰って敵前逃亡する振る舞いは断じて許されないものである。
お陰で、今日12月30日付けの読売新聞によれば、現在の防衛省は未曾有のピンチに陥っている。歴史認識がどうの国家の威信がどうのと言っている場合ではない。
① 内局と陸海空の各幕僚監部にある防衛力整備部門を一元化し、内局に創設する局に
集約する。
②自衛隊の運用を一元化し、内局の運用企画局の機能を統合幕僚監督部に移す。
といった改革案が田母神論文問題で大幅にずれ込んでいる。改革の工程は3カ月以上後れていると言う。
これらの改革案に対する制服組の抵抗も強いと言うし、首相が主導する海上自衛隊のソマリア沖海賊取締り派遣に対する抵抗も武器使用に関する統一見解や法制度不備で防衛省内でも反対論が根強いと報道されている。
歴史認識とか国家の威信とかについては、防衛省の制服組が歴史家でもないくせに容喙し、世間に向かって論文を発表しても、防衛省としては何ら得るところは無かったのである。かえって、防衛省の改革の速度を弱め、防衛力の充実を弱めただけなのである。
ネットウヨたちは、そうは言っても昭和戦争を全部正当化しないと、自衛隊の若い隊員を教育できないと主張する。小生の立場は、満州事変、満州国を日本の権益にすることまでは対ロシア政策からいっていくらか正当性は主張できるが、中国本土まで攻め込んで英米の権益を蹂躙し、せっかくの満州も元も子も亡くしてしまったのは明らかに日本の軍部独走による侵略であり大失策である。そんなことで隊員の教育が出来ないと言うのは本末転倒であると思う。
若い自衛隊員に対してしっかり教育してもらいたい事は、天皇陛下が2006年6月の記者会見で「愛国心」について述べられた次のお言葉である。
「日本では1930年から6年間に要人襲撃が相次いで首相と首相経験者の計4人が殺され、この時期に政党政治が終わって言論の自由も失われた。先の大戦に先立ち、このような時代があったことを多くの日本人が心にとどめ、そのようなことが二度と起こらないように日本の今後の道を進めていくことを信じています。」
このお言葉の中の要人襲撃とは、軍人が起こした5・15事件や2・26事件のなどのこと、軍事テロの恐怖をちらつかせて軍部が以降独断専行して日中戦争を拡大し、三国同盟を締結し、英米との戦争に向かったことである。このことについて天皇陛下は痛恨の思いを表されている。陛下が日本を愛されてないわけではない。愛すればこそこのような歴史に悔恨の念を現されている。まさか、ネットウヨたちは、このような昭和初期のテロやクーデターも外国のあるいはコミンテルンの罠だと言いたいのだろうか?
本日、30日付けの産経にもあるとおり。歴史は現在進行形なのである。日本の素晴らしいところは、昭和初期から終戦までの司馬遼太郎が言った「魔法の森」「昭和の妖怪」のような軍部独裁の時代を正当化しないまでも、江戸から明治に引き継いだ日本文化、日本人の人や自然に対する肌理(きめ)細やかな情感や繊細な感性や世界の人々に対する献身や貢献を守る、世界に認められた日本文化の素晴らしさ守る、ということを隊員に教育すれば十分なのである。それが真性保守なのである。ネットウヨのような不真性保守は昭和軍部と同様に日本文化を破壊する輩なのである。
今日の産経新聞2面の冒頭記事(コラム)で、岡本行夫氏は、ウクライナの首都キエフの中学校で「君たち松尾芭蕉のことを知ってますか?」と聞いたら生徒たちは当たり前だと言う顔で全員小学校で習いましたと答えたと言う。ウクライナの学習指導要領では「自然を描写して気持ちを表す日本人の国民性を学ぶことにより、ウクライナとは違った文化を持つ日本と日本人に対する尊敬の念を養うこと。」と記してあると言う。ウクライナは旧ソ連の産業科学や農業の拠点地域として核も保有する堂々たる国家である。他国の文化を理解できないものは自国の文化に対する愛情も育まれないから異なる文化に尊敬を持たせると言うのである。ネットウヨのように戦前の軍部と同様に嫌中嫌韓のトンデモ本ばかり読んでいる輩には日本の文化も理解できず、真の愛国心も無いのである。
ウクライナの小中学生の教育に比べて、自衛隊員に松尾芭蕉に関してどのような知識があるか説明せよと問題出してみたらどれだけ答えられるのか?これは一例だが日本文化に対してどれだけの教育をしているのか?昭和の軍部が日本文化を破壊しようとしたと同じように、田母神が日本の歴史伝統に対する教育をおろそかにして、ヒトラーに騙された昭和軍部の正当性をいくら隊員に証明しようと思ってみても逆効果なのである。昭和軍部と同じように現状分析が出来ていない。防衛省のやるべきことは日本の歴史文化、過去の事象のみならず現在の日本人の背景となっている「現在進行形」の日本文化を自衛隊員に教育し、本当の意味の愛国心を育て、自衛隊の地位を高め、組織力技術力や法整備を整わせ、現実感を持って今の危機を分析することなのである。
←「クリックしていただけると励みになります。お願いします。」
今年も残り少ない時間になりました。ネットウヨのブログ主に対して次のような言葉を送ることにします。
ネットウヨのブログ主様へ
今年も中国は崩壊する。韓国経済は破綻する。国籍法改正は通らないなどと昔からの貴方の主張をさんざんおっしゃっていましたが、ことごとく予想は外れましたね。
現実は日本の現在の危機は相当なもので、貴方の予想に反して2009年以降もそうバラ色な未来はありそうもなく、亡国の兆しが出てきております。
その原因は、指導者層のモラルハザードにあると思いますが、あなたのような無責任な老人がグローバリズムの世界経済に背を向けて、国益に反するネットウヨを増殖させていることにも一因があると思います。
国際間には永遠の友人も永遠の敵も無いのです。あるのは冷徹な利害関係だけなのです。2009年には米国のみならず日本もアジア諸国と協力して利害関係を見つめた外交をしなくてはならなくなるでしょう。
あなたのように中国や韓国と「ハイさようなら!」と言うような余裕はないことがますます実感をもって感じられることになると思います。ますます苦しくなるお立場だと思いますが、がんばって下さい。
注記:ここで言うネットウヨとは、グローバル化し,複雑化していくポスト近代に乗り遅れ、付いて行けない人々が,そのフラストレーションを陳腐で幼稚な嫌中,嫌韓のトンデモ本などに不満解消を求め、ネット社会において夥しく繁殖し、トンデモ史観を振り回し、欧米アジアからの日本人はプレ近代で偏狭な歴史修正主義であるという反日の契機を与え、結果的に日本国の国益を害する人たちのことを言う。
◆人気ブログランキングへ参加しています◆
クリックしていただければ感謝、感激します。
#
by tokiwater2008
| 2008-12-30 21:29
| 政治